死にぞこないの唄

一度死にかけて帰ってきました。

「表現」なめんな!

 だいぶ前のことなので今更ですが、書きたかったので。

1月に↑のダレノガレ明美のツイートが炎上し、ネットで話題になったのですが、彼女のこのツイートを見て私が思い出したのは、西原理恵子の漫画で、知り合いの編集や作家のおっさんがタップダンスだのバンドだのやるといって、碌にステップできない、音出せないのに、十万するシューズや数十万する楽器を買った、というのでした。

本人や彼女の支持者は、なぜ炎上したのか解らないといい、品川が「いいカメラ買ったから炎上したんだよ」と擁護ツイートし、本人や擁護の人間は「いいカメラ買ったから嫉妬されて炎上した」と言っているようですが、多少なりともカメラを齧っている人間からしたら、勘違いも甚だしいと思います。

彼女が買ったのは大体本体で30万くらいで、レンズは十数万でしょう。カメラとしては比較的安い部類に入りますが、一般人が簡単に出せる値段ではありません。だから本人や擁護は「そんなお金をぽんと出せる金を持ってるから嫉妬された」と言いたいのかもしれませんが、違いますね。

カメラを知らない人からしたら、いいカメラのが色々機能あって使いやすいんじゃないの? と思われるかもしれませんが、違います。いいカメラ、ここでは高いカメラと規定しておきますが、いいカメラほど、撮影時に自分で設定しなければならず、カメラの知識が必要になります。逆に、数万円の初心者用のが夕景モード、食事モードなど、シチュエーションに合わせて、初心者や素人でもそれなりの写真が撮れる機能がついているのです。

彼女が買ったカメラは、少なくともカメラ全く知らない人がいきなり手を出しても使えるのか? というカメラなのです。

だから、カメラを知らない人に解るように彼女のツイートを書き換えるなら、

「カーレース出たいから殆ど運転したことないけどランボルギーニ買いました!

 車のことよく解らないからディーラーさんに色々教えてもらって買いました。

 これから乗って腕を磨きたいと思います」

のようなものです。

もし、このようなことを言っている人を見て、「ランボルギーニ買えるなんて!」と「嫉妬」する人がいるでしょうか? 多分、出てくる感想は「はあ?」「あんた大丈夫か?」「初心者がいきなりランボルギーニて。日本車にしなよ」「ディーラーに騙されてないか」でしょう。で、批判コメントが来たら「何で批判されるの?」と言い、知り合いに「自分もカーレース出ようとしてポルシェ買ったら批判された」と言われて、「あー、私がランボルギーニ買えちゃうくらいのお金を持ってるから嫉妬されちゃったのね」と言い垂れたら、益々「はああああああああ?!」でしょう。

私は車のこと一切知りませんが、外車のが馬力もある分、使いづらく、日本車の方が運転しやすいことくらいは知っています。ですから、カメラも車と一緒で、高いから使いやすい、性能がいい、というわけではありません。

ですから、批判的なコメントをしている人は嫉妬しているのではなく、ただ単に「いや、もっと考えろよ」と言いたいのです。

それに、炎上した理由の一つが、彼女がこのカメラで自身のブランドの宣材写真を撮ろうとしているからでしょう。別に、趣味でお金が発生しないならば、いくらいいカメラや車買っても自由ですし、それに口出すならそれこそ嫉妬でしょう。

ですが、ブランドの宣材写真なら、プロに任せたら最低でも十数万はかかるでしょう。それを浮かせたいからちょっと金出していいカメラ買ったんでしょうが、それは甘いです。

一眼レフを持っている人なら経験していると思いますが(私もです)、一眼レフだからといっていい写真が撮れるわけはないですしね。

森山大道という写真好きの人なら誰でも知っている写真家は、リコーGRという数万円のコンパクトカメラですごい写真を撮っています。最近はCOOLPIXでしたか、これも数万円のカメラですごい写真を数々撮っています。

そりゃあ、いいカメラ使えば「画質」はいいですが構図であったり、ボケであったり、光の取り入れ方は、ある程度の知識や技術が要ります。

また、車の運転と同じで、ある程度の技術は習得できても、カーレースに出たりするようなレベルに行くまではセンスや向き不向きがあります。

私は別に、無駄な根性論や修行論を主張したいわけではありませんし、高い目標や大きな夢を持つな、と言いたいわけでもありません。写真を撮るのにカメラの構造を知らなければいけないか、車を運転するのにエンジンやバッテリーの仕組みまで知らなければいけないか、という話と同じです。知らなくてもボタン押せば写真撮れますし、アクセル踏めば車は進みます。ですが、知っておくべき知識や習得すべき技術はあります。そういうのを習得したり勉強する前に金を出しゃ大丈夫だろう、という「成金思考」が下品で鼻につくのです。

「とりあえず金出して高いカメラ買えばいい写真撮れるでしょ?!

 写真なんて楽勝楽勝♪」

という、写真、ひいては「表現」を舐めているように感じられるので、写真や表現を趣味だろうが仕事だろうが真剣に向き合っている人間からしたら、腹が立つのですよ。

プロがたとえ1万5千円くらいの仕事でも最初はやるの大変なのに、カメラの知識のない素人が何十万、また何百万もする価値のある写真(ヴィトンやシャネルのようなブランドの広告のような写真)を簡単に撮れると思っているのなら、それははっきり言って頭が足りないと思われても仕方ないでしょう。

こう書いていてまた思いついたのですが、炎上した原因の一つが、ダレノガレさん自身のイメージ、「アタマの悪い顔だけのタレント」でしょう。試しに彼女のインスタやツイッターを見てみたのですが、まあ予想通りの空っぽな投稿ばかりでした。誰それと仲良くしたとか、この美容品おすすめだよ! とか。

もし、彼女の投稿に映画を見たとか本を読んだとか作家や大学教授の講演会に勉強しに行ったとかという投稿があれば見直したのですが(それはそれで「インテリぶってる」と批判も生むでしょうけれど)。

よく言われることですが、何かを生み出したいと思っているのなら、本を読め、映画も見ろ、展覧会に行け、芝居を観ろ、とにかく感性を磨け、と。アウトプットをするためには大量のインプットをしなければいけません。別に、苦しい思い、「苦行」が必要だというわけではありませんよ。楽しいと思いながら感性を磨いていけばいいのですから。

別にダレノガレさんのファンでもアンチでもないので、彼女がこれからどうなろうが知ったこっちゃありませんが、幸運によって与えられた、年と共に衰えていく「表面的な美」だけで生きてはいけないでしょう。若く可愛い子なんて年ごとに量産されているのです。私はそれなりに年を取っているので、彼女のような「若さ」「美貌」しか取り柄のない女性が数年で消費されて消えて行ったのをよく覚えています。

楽してあぶく銭稼いでいたツケはいつか来るでしょう。それを思い知る時はお金も美貌もなくなり、勉強したくてもできない状況になり、炎上で稼ごうにも「あんたのことなんてどうでもいいよ」と、炎上すらしない。

彼女のことは心底どうでもいいですが、勉強は大事だな、と思い知らされました。